TOPICSトピックス
- 2022.06.08 お知らせ
- 2022.05.24 お知らせ
- 2022.05.24 お知らせ
- 2021.07.13 お知らせ
- 2021.06.15 シンポジウム
GREETING代表挨拶
川上 英良
- 千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学 教授
- 治療学人工知能(AI)研究センター センター長
- 理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム
- 健康データ数理推論チーム チームリーダー
- 健康医療データAI予測推論開発ユニット ユニットリーダー
近年、計測技術の発展の人工知能技術の普及により、医学研究においてデータサイエンスの導入が急速に進んでいます。特に免疫アレルギー疾患や生活習慣病などの慢性炎症疾患や癌疾患など、多様で単一のモデルに基づく説明や治療が難しい疾患に対して対象疾患の網羅的観察とデータ取得をし、データに基づいた個別化モデルを作るデータ駆動型研究が注目されています。このデータ駆動型研究には、臨床医学、基礎生物学、システム生物学、情報数理科学などの様々なスペシャリストがチームを組み、学術的なアプローチをすることが必要です。しかし、諸外国においてもこれらの分野のスペシャリストが網羅されている研究機関は限られているため、国際共同研究が重要となります。しかし医療データはプライバシーや倫理の問題で国境を越えて移動させるのは非常に困難です。そこでデータではなく人を移動させ、データ駆動型医学研究を推進しようとJSPSの支援を受けて構築したのが当研究拠点です。
本拠点のもう一つの目的が次世代の医療、医学研究をリードする若手研究者の育成です。近年、医学・生命科学はゲノム・分子生物学中心の時代から、人工知能・データサイエンスの時代へと変遷する転換期を迎えています。医学・生物学分野において、次世代の中核を担う研究者は、医学のみならず数理科学の高度な専門性をあわせ持つことが期待されています。そこで本プロジェクトでは、千葉大学医学研究院附属治療学人工知能(AI)研究センターが中心となり、ルクセンブルク大学、テュービンゲン大学といった海外拠点に、若手研究者が相互に数ヶ月単位で滞在し、深い相互理解と研究プロジェクトへの中心的な参画ができる環境を整備したいと考えています。
本プロジェクトで若手研究者が国境や学問領域の枠を越え、元々の専門性に加えて複数の専門性と実績を身につけていってくれたら何よりです。
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PROJECTS参加プロジェクト
- 01免疫・アレルギー疾患の
データ駆動型病態層別化・予測 - アトピー性皮膚炎、関節リウマチなどの免疫・アレルギー疾患は、遺伝・免疫・環境要因が複雑に絡み合って発症する多因子疾患です。その本質は、多種多様な病態の集合体であることが明らかになりつつあります。しかし過去の研究では、各疾患を一つの疾患病態とみなして報告されることが多く、十分な病態理解と臨床応用に繋がりませんでした。本研究ではこれまで千葉大学で連続的・体系的に集積したデータに対して、国内外のシステム生物学・情報数理科学の研究者を結集し、患者病態を分類するアルゴリズム開発を行い、分類された患者集団ごとに病態変化予測モデルをつくることで正確な病態理解と予測・個別化医療を提案します。
- 02変性性神経疾患の
システム医学研究 - パーキンソン病をはじめとする変性性神経疾患は、世界的に高齢化が進む中で羅患者数が増加しており、患者の健康寿命を損なっています。発症と関連する遺伝的要因・環境要因が複数同定されているものの、発症メカニズムは解析されておらず、予防と完治ができないことが課題です。本研究では、ルクセンブルク大学のシステム医学の研究基盤に基づき臨床多項目データを統合することで、変性性神経疾患の層別化をし、個別の発症・病態モデルを構築します。
- 03臨床データに基づく
癌の多様性解明と個別予測 - 癌は1981年以降、日本における死亡原因の1位となっており、高齢化に伴い羅患者数が世界的に増加しています。遺伝的要因に加えて外的要因への暴露による長期的なプロセスから発症すると考えられ、進行期や組織型ごとに予後や薬剤応答が大きく異なることが知られています。近年、PARP阻害薬や抗体医薬など有効な抗癌剤が登場してきたこともあり、術前に進行期や組織型を予測し、患者ごとに適切な治療戦略を策定することが強く望まれるようになりました。本研究では、テュービンゲン大学に集積している各種癌疾患のデータに対して、機械学習・情報数理科学の手法を適用することで癌の多様性を理解し、個別予測アルゴリズムを開発します。
日本メンバー
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皮膚恒常性研究 天谷 雅行
- 天谷 雅行
- 慶應義塾大学医学部 学部長 教授 医学博士
- 理化学研究所生命医科学研究センター 皮膚恒常性研究チーム チームリーダー
- 天谷 雅行
- 慶應義塾大学医学部 学部長 教授 医学博士
- 理化学研究所生命医科学研究センター 皮膚恒常性研究チーム チームリーダー
私の研究テーマは大きく分けて2つあります。一つが自己免疫性皮膚疾患である天疱瘡です。天疱瘡抗原デスモグレインのcDNAクローニング、組換え蛋白の作成、血清診断薬としてのELISA法の開発をしており、さらに、天疱瘡モデルマウスの作成から医師主導治験まで一貫して研究を展開しています。もう一つが、今回のプロジェクトで取り扱うアトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎の発症において経皮感作が重要な役割をしており、どうやって外来抗原が皮膚バリアを通過して免疫系と出会うのか、皮膚バリアの正常なしくみと異常になるメカニズムを主に研究しています。
また理化学研究所には、アトピー性皮膚炎モデルマウスを開発しており、様々なデータがあります。一方、慶應義塾大学においては、患者さんから得られる情報をもとに取得した、ヒトゲノムや遺伝子発現、皮膚の表面にある細菌叢、バリアー機能、血清マーカーなどのデータがあります。これらを一括して管理し、マウスで明らかにしたデータとともに、ヒトのマルチモードのデータを用いて解析し、このプロジェクトに貢献するのが私に求められる役割だと解釈しています。ルクセンブルクやドイツとも連携しているので、日本国内だけではない症例や技術、検査レベルなどを有効活用し、研究を推進させていきたいと思っています。
アトピー性皮膚炎は、5人に1人が発症するCommon diseaseです。しかし原因は一つではなく、ある治療に対して非常によく反応する人とあまり反応しない人がいます。そのため今回のプロジェクトにおける研究を通して、最終的に患者さんを層別化することが目標です。個々の患者さんに適した治療法や薬剤を提供する個別化医療を目指しています。そのためには若手研究者の育成も非常に大切です。治療へのアプローチは時代によって異なりますが、患者さんにとって理に叶った効率的な治療がしたいというゴールは同じです。若手研究者が、このプロジェクトの中でデータに触れ、データから得られたものを何らかの形にしてコミュニケートできるよう、育成にも励んでいきたいと考えています。その際に私たちが為すべきことは、アプローチの方法を教えることではありません。日々のディスカッションや、「わかる」という体験をさせることにより個々の好奇心を育むことです。好奇心を持ち続け、「なぜ」と問い続ける姿勢を養うことで、若手研究者一人一人が育ち、社会貢献に繋がる発見をしてくれることを願っています。
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生命医科学 有田 誠
- 有田 誠
- 慶應義塾大学 薬学部 教授
- 理化学研究所 生命医科学研究センター メタボローム研究チーム チームリーダー
- 横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 大学院客員教授
- 有田 誠
- 慶應義塾大学 薬学部 教授
- 理化学研究所 生命医科学研究センター メタボローム研究チーム チームリーダー
- 横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 大学院客員教授
生体内には10万分子種を超える多様な脂質が存在しています。その代謝バランスがヒトの健康にどのような影響を与えているかを分子レベルで理解することが私の研究テーマです。油脂やコレステロールなど様々な脂質が栄養として私たちの体内に取り込まれると、細胞膜の構成成分やエネルギー源として利用されたり、脂質メディエーターや胆汁酸・ステロイドホルモンなどの生理活性物質に代謝変換されて、炎症や免疫制御をはじめ様々な生体調節機能を担います。一方で、体の中の脂質バランスは食習慣の違いによって大きく影響を受けます。例えば、オメガ3脂肪酸を多く含む魚油やアマニ油、えごま油などが体に良いと言われているのをご存知でしょうか。私たちは、オメガ3脂肪酸が本当に体に良いのか?、どういう疾患に対して効果があるのか?、その作用メカニズムは?、などの疑問の解明に取り組んでいます。
このプロジェクトで取り組みたいのは、データ駆動型の個別化医療です。例えば、特定の疾患リスクの個人差を捉える上で、ゲノム情報に加えて環境因子として脂質代謝バランスの情報を加味することで理解が進む可能性があります。私たちが開発している網羅的な脂質解析技術を用いて、体内の脂質代謝物のビッグデータを解読し生物機能情報に関連づけることによって、個別化医療やデータ駆動形サイエンスに貢献できるのではないかと考えています。海外機関とも連携し、生命の脂質多様性からバイオロジーを捉える視点や高度な分析技術をベースにコラボレーションすることで、研究が飛躍的に発展することが期待されます。
これからの時代は、情報科学と生物学の両方の視点を持ち、膨大な計測結果から意味のある情報を抽出し、そこから生物学的解釈や仮説を生み出すことができる若手研究者を育成することが重要になります。AIや情報科学を扱えることは大事ですが、そこにバイオロジーの視点がないと病態や生命現象の理解にはつながりません。またバイオロジストにもビッグデータをうまく利用し、高度に情報処理する能力が求められるでしょう。このような領域横断型の研究領域の発展こそが、人々の健康寿命やQOLを高める未来を導くことができるのだと思います。
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生命医科学 大野 博司
- 大野 博司
- 千葉大学大学院医学研究院教授
- 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー
- 大野 博司
- 千葉大学大学院医学研究院教授
- 理化学研究所 生命医科学研究センター メタボローム研究チーム チームリーダー
- 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー
私は免疫学をバックグラウンドにしており、ここ10年程は粘膜免疫と腸管免疫を研究しています。特に腸内細菌と宿主(ヒトやモデル生物としてのマウス)との関わりにおいて、宿主側から腸内細菌をどのように見ているか、また腸内細菌が宿主にどういう影響を与えているかの両面から研究を進めています。腸内細菌は、大腸だけでも40兆個以上存在していると言われています。これだけ膨大な数でありながら、宿主は腸内細菌を無条件に受け入れているわけではありません。特にIgAという抗体をつくり粘膜面から分泌して中和する形で排便を促すなど、様々な方法で排除しようとしています。このIgAをつくるのに役立っている特殊な腸管上皮細胞のM細胞も私たちの研究対象です。
今回のプロジェクトに参加しているルクセンブルクは、アルツハイマーを一つのターゲットにしています。アルツハイマーのはっしょうにも腸内細菌が関係すると言われ始めているので、私たちの技術と先方の膨大なサンプルを組み合わせ、環境因子としての腸内細菌がどのように影響を及ぼしているかを解明したいと思っています。解明できたらアルツハイマーの進行を遅らせたり予防したりできるかもしれません。これはあくまで一例で、二型糖尿病や潰瘍性大腸炎、クローン病などの遺伝的因子より環境因子が大きな原因と考えられる病気も腸内細菌との関係が深いと考えられるので、同様に解明していきたいと考えています。
そうしてできるだけ多くの病気を未然に防げる未来を構築していくことを目指しています。私は腸内細菌がターゲットですが、このプロジェクトに参加している皆さんはそれぞれ異なるターゲットを持っていますので、多方面から同じ目的にアプローチできることでしょう。その結果、最終的に健康寿命を延ばしたり、医療費を削減したりという形で社会貢献していけたら幸いです。
また若手研究者育成は、当プロジェクトの大きなテーマです。日々ディスカッションし、考え方を示すほか、私自身が昔経験した失敗を話し効率的な実験ができるようサポートしています。医学の世界は日進月歩で私が若手時代に取り組んでいた実験と現代の実験に同じ条件が当てはまらないことも多々あります。けれど必ず共通の部分はありますので、そこは今回のプロジェクトを活用して国際的にノウハウをストックできると未来に役立つのではないでしょうか。
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人工知能(AI)医学 川上 英良
- 川上 英良
- 千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学 教授
- 治療学人工知能(AI)研究センター センター長
- 理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム
- 健康データ数理推論チーム チームリーダー
- 健康医療データAI予測推論開発ユニット ユニットリーダー
- 川上 英良
- 千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学 教授
- 治療学人工知能(AI)研究センター センター長
- 理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム
- 健康データ数理推論チーム チームリーダー
- 健康医療データAI予測推論開発ユニット ユニットリーダー
私は、2001年に医学部に入学したときから人工知能や機械学習に興味を持っており、人工知能を活用した医学研究をしたいと考えていました。しかし、当時はAIの暗黒期でデータも集積しておらず、とても医学研究に使えるものではありませんでした。そこで医師免許取得後、インフルエンザウイルスの研究を始めました。その後、北野宏明先生のもと、コンピューターを用いた医学生物学の研究をスタートしたのが2013年です。それ以降、機械学習や数理科学を医学や生物学の課題解決に活用できないか、逆に生命の仕組みを利用した情報処理システムが作れないかと考え続けています。
私達のグループでは、AI・機械学習に加えて、位相的データ解析やデータ同化といった最新の数理手法の導入・改良を進め、様々な疾患を対象として予防・個別化医療の実現に向けた研究を進めています。幅広い医科学分野における研究の経験を生かして、本プロジェクトの多数の研究ステップを俯瞰的に把握し、情報数理科学と医学・生物学を高いレベルで融合したデータ駆動型医学研究を推進できればと考えています。
また国内及び海外から様々な分野の専門家が国際共同研究チームを組織し、複数の疾患領域においてデータ面と技術面の両方で世界をリードする基盤を構築していることを活かし、若手研究者育成にも力を入れていくつもりです。若手研究者はこのプロジェクトに参加し、データ駆動型医学研究の様々なステップに中心的に関わることで、複数の分野の専門性と実績を身につけられることでしょう。その成果が出てくるのはおそらく10年、20年後となりますが、確実に未来の医療を明るく灯してくれるはずです。
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細胞分子医学 古関 明彦
- 古関 明彦
- 千葉大学大学院医学研究院 細胞分子医学 教授
- 国立大学法人千葉大学 教授
- 国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター 副センター長
- 免疫器官形成研究チーム チームリーダー
- 古関 明彦
- 千葉大学大学院医学研究院 細胞分子医学 教授
- 国立大学法人千葉大学 教授
- 国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター 副センター長
- 免疫器官形成研究チーム チームリーダー
遺伝学と発生学の研究をしています。その中でもエピジェネティクスを核にしています。遺伝学は現在一つの技術に過ぎませんが、私たちはその過程で非常に多くの疾患モデル動物を使い動物の遺伝資源を作ってきました。そして今回、このプロジェクトで取り組むのは疾患の生物学です。私たちのチームはいろいろな疾患モデル動物を使い、病気がどのように起きてくるのかを解明することを目標にしています。対して川上教授のチームは、人間のデータに基づき患者様を層別化したり予後を予測するための方法を開発していこうというアプローチです。共同研究することにより、互いを補完し合い最適な治療方法を見つけられないかと考えています。
今回共同で研究に取り組むドイツのテュービンゲン大学とルクセンブルク大学も同じで、テュービンゲン大学は肝臓がんや肝炎を対象に、ルクセンブルク大学はパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経炎症を対象に同様のアプローチをしています。その中で私は、より論理的に層別化し、治療法的を見つけたり実際の治療快癒の方法を見つけたいと考えています。三国は対象とする病気は違いますがアプローチは同じですので、使用する技術も似たようなものになります。これらを見つけることで互いの研究が促進するはずです。
また、いま研究している内容はまだ受療科目にもなっておらず、これを未来の治療に当てはめていくのは若手研究者たちです。私たちの務めは、データサイエンスに基づく医療をできるだけ実際の治療に結びつく形にできるような人材を育てること。さらにモデル動物を使った疾患生物学と、データサイエンスに基づく疾患生物学の両方をマージできるような人材を育てられれば、この分野を引っ張っていける人材を育て上げたことになるのではないかと個人的に考えています。大事なのはチャレンジすること。私たちのチャレンジに共感してくれる若手研究者がここに集い、いずれ羽ばたいていってくれれば幸いです。
- 主要論文
- Chromatin and epigenetics in development: a Special Issue.
- プレスリリース
- https://www.riken.jp/press/2018/20181011_1/index.html
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データ駆動型生命医科学研究 清田 純
- 清田 純
- 国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター チームリーダー
- 国立研究開発法人理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム チームリーダー
- 千葉大学大学院医学研究院 客員教授
- 清田 純
- 国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター チームリーダー
- 国立研究開発法人理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム チームリーダー
- 千葉大学大学院医学研究院 客員教授
私の研究室ではAI、特に深層学習を用いて人々の健康、もしくは病気の状態を予測することをテーマに研究を進めています。この研究にはAIが学習するデータ、例えば一定人数の過去の健康状態のデータや、病院のカルテ情報などが必要になります。このような研究をグローバルに進める場合、国ごとに違うプライバシーを守るための法律に対応することが重要になります。特にEUでは個人情報はEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation; GDPR)という法律により堅固に守られています。これらの状況に対応しつつ国際的な研究を伸展していくフレームワークを確立することが、本プロジェクトの一つの大きな目標となります。
一つの国の中を考えても各病院を訪れる患者さんの層はそれぞれ異なります。ある病院では小児科が強いため子どもが多く、またある病院では女性の患者様が多いなど、病院ごとに取得できるデータの背景は少しずつ異なります。それぞれの病院で学習したAIは、その違いを反映して育っていきます。一旦学習したAIを違う環境に適応させる手法を転移学習と言い、私たちはこの分野にも取り組んでいます。医療に適した転移学習が確立できれば、このプロジェクトで共同研究するドイツやルクセンブルクの病院にも適用できますし、データを国を跨いで移動する必要も減少し個人情報の保護につながります。転移学習はこれからの医療においてAIが国を問わずに活躍するために重要な研究課題だと考えています。
深層学習は極めて新しく、かつ大変ホットな学問領域であり、若くて柔軟な考え方のできる研究者参加を大歓迎します。
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分子病態解析学 田中 知明
- 田中 知明
- 千葉大学大学院医学研究院 分子病態解析学 教授
- 田中 知明
- 千葉大学大学院医学研究院 分子病態解析学 教授
分子病態解析学を専門に、病気のメカニズムや原因を研究しています。単一細胞解析やプロテオミクスなどの最新の技術を用いて、一つの細胞の中にある非常に数多くの遺伝子やゲノムの情報などを統合的に解析することで、今までにない視点で病気のメカニズムや疾患の状態を明らかにし、診断・治療に繋げることを目的にしています。特に糖尿病、生活習慣病、ホルモンの病気、ガンなどを扱っており、分子や遺伝子やどのようにこれらの病気に関わるのかを解析するほか、それに基づく診断マーカーや治療法を開発することに取り組んでいます。
このプロジェクトでも同様の研究に取り組み、いくつかの代謝疾患を扱います。例えば今回共同研究する欧米国と日本では、体格や生活習慣、食生活などが異なり、糖尿病のなりやすさもこれらに起因しています。AIを用いて人種比較することで、共通あるいは非共通なものの基盤を見つけられることが一つのメリットだと考えています。また国や分野を跨いで情報共有できることも大きなメリットです。昨今は技術も専門分野も非常に発達しているため、新しい先端研究をするのは一つの研究室では対応しきれません。領域が似ている研究室で協同したり、それぞれが得意な技術を組み合わせたりすることで、研究の質を向上させるだけでなくスピードを加速することも可能になります。
また研究は”Doing the Believing”です。頭の中で考えて終わらせるのではなく、とにかくやってみることが大事です。そのため若手研究者育成においても、講義するよりとにかく挑戦してもらうことを重要視しています。私自身もノーベル賞クラスの研究をし続け、自らやってみる姿勢を見せ続けようと思います。
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アレルギー・臨床免疫学 中島 裕史
- 中島 裕史
- 千葉大学 大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学 教授
- 千葉大学医学部附属病院 アレルギー・膠原病内科 科長
- UC San Diego Adjunct Professor
- 中島 裕史
- 千葉大学 大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学 教授
- 千葉大学医学部附属病院 アレルギー・膠原病内科 科長
- UC San Diego Adjunct Professor
気管支喘息、アトピー性皮膚炎を始めとするアレルギー疾患や、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の分子メカニズムの解析に取り組んでいます。マウスモデルを用いた研究が中心ではありますが、患者検体を用いた研究や、健常者の末梢血を用いたヒト免疫に関する研究も行なっています。そのほか、関節エコーや高解像度CTなどを用いた臨床研究や、新規薬剤の有効性を評価する臨床試験も実施しています。
このプロジェクト以前から、私たちは川上教授の研究室と協力して研究してきました。例えば、喘息の研究で様々な細胞の遺伝子発現やクロマチンの変化を見る場合、情報量は膨大になります。臨床研究においても、全身関節のエコー情報やその他の臨床情報を取得すると、情報量は膨大になります。これらを川上教授の研究室でAIにより解明してもらっています。最近は、AIで解析することを前提にAIにより適した形式でデータを取得するようにしています。それにより、時系列変化を的確に捉えた解析が可能になります。
しかしながら私たちはAIの専門家ではないため、ときに解析したデータがわかりづらい場合があります。このプロジェクトを通して、AIが導き出した数理的な情報をわかりやすく伝えるシステムが出来ることを期待しています。それにより私たちの理解がもう少し進み、川上教授の手を煩わせずにある程度解析できるようになれればと思っています。また今回のプロジェクトは様々な先生と協働できる場になっていますので、臨床免疫学的な視点から、本プロジェクトに貢献できるよう日々努めていきたいと思っています。さらに海外のチームと共同研究することで、AIに限らず様々な分野で視野を広げていきたいと思います。
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免疫発生学 中山 俊憲
- 中山 俊憲
- 千葉大学大学院 免疫発生学 教授
- 千葉大学副学長、医学研究院長・医学部長
- 中山 俊憲
- 千葉大学大学院 免疫発生学 教授
- 千葉大学副学長、医学研究院長・医学部長
私の研究テーマは免疫学とアレルギーです。アレルギーの三大疾患は気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎ですが、ヨーロッパやアメリカで多い好酸球性副鼻腔炎や喘息を起こす病原性のT細胞について日々研究しています。例えば私たちの体内には、ヘルパーT細胞(Th)という免疫を助け、免疫反応の司令塔のような細胞がいます。その中にTh2と呼ばれる2型の細胞があり、これがアレルギーを起こすことがわかっているので、ここ20年はTh2細胞の研究を行っています。
また2020年は新型コロナウイルス感染症が世界的に流行していますが、肺に血管の炎症が起きて重症化するケースがあることがわかりました。私たちは免疫学が専門で感染症を研究しているわけではありませんが、偶然にも研究対象の分子の一つであるMyl9が血管炎を引き起こす分子ということもあり、このMyl9が新型コロナウイルス感染症の重症化のマーカーに使えるのではないかという仮説をもとに、同年8月より患者様のサンプルを解析して予測マーカーを探索しており、2021年3月中に一定の結論を出す予定です。
このJSPSのプロジェクトは、国を跨いだ共同研究です。若手研究者にとって、他国での学びとネットワークを得る貴重な機会になるでしょう。これまでも大学院生や若手研究者の国際研究交流はグローバルCOEプログラム、リーディング大学院プログラムなどでも実施してきましたが、JSPSのプロジェクトの枠組みで推進することにより国際共同研究が加速することでしょう。そして若手研究者の今後の長い研究者人生を考えると、いまのうちにグローバルなネットワークを持っておくことは必ずプラスに作用すると思います。そのことを経験で知っている私たちが為すべきことは、必要な環境を整えることです。それが将来的な医学・医療の発展にも繋がると信じ、グローバルに活躍出来る若手研究者の育成に力を入れていきます。
- 主要論文
- Nakayama, T. et al.: Th2 cells in health and disease. Annu. Rev. Immunol. 35:53-84 (2017). /10.1146/annurev-immunol-051116-052350
- プレスリリース
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000426.000015177.html
ルクセンブルクメンバー
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ルクセンブルクメンバーの名前
- ルクセンブルクメンバーの名前
- ルクセンブルクメンバーの職位
- ルクセンブルクメンバーの職位
- ルクセンブルクメンバーの名前
- ルクセンブルクメンバーの職位
- ルクセンブルクメンバーの職位
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ドイツメンバー
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ドイツメンバーの名前
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- ドイツメンバーの職位
- ドイツメンバーの職位
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- ドイツメンバーの職位
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INTRODUCTION事業 / 部門紹介
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- データ収集・計測・標準化
- アレルギー疾患を中心に、クオリティの高いデータを持続的に収集します。従来の臨床パラメータだけでは、疾患・病態の層別化が困難と想定されるため、疾患の多様性や病態を反映するような新規臨床パラメータを高い精度で測定することも重要になるでしょう。臨床データを活用するうえで、施設間の違いや測定誤差に影響を受けないような標準化も大きな課題です。オミックス計測において世界中のデータに基づいた標準化システムを活用し、様々な臨床データの標準化を進めることで、このプロジェクトで取得する臨床アラメータ計測手法やそれらに基づいた層別化・予測アルゴリズムが世界標準になることを期待しています。
- 層別化・予測
- 本プロジェクトが取り組むデータ駆動型医学研究によって、患者一人ひとりの病態に応じた高精度な予測が可能になると考えています。例えば近年、急速に医療現場への導入が進んでいる抗体医薬品についても適応基準が明確に定められていない疾患が多く、疾患を適切に層別化し、患者一人ひとりの疾患タイプや病態に応じた適応基準を決定することが求められています。本プロジェクトは、日本国内からデータ駆動型研究をリードする研究者が多数参画するだけでなく、ルクセンブルクとドイツにおいても世界トップレベルの数理情報科学の研究者が集結しています。これにより、世界をリードした層別化・予測手法開発が実現すると考えています。
- 生物学的検証・社会実装
- データに基づいた層別化・予測を実際の医療現場に還元するうえで重要なステップが、生物学的検証です。機械学習による層別化や予測は普遍原理に基づいたものではなく、元となるデータからバイアスを受けることがあるため、妥当性を生物学的に検討する必要があります。私たちは、臨床データから得られた知見・仮説を、対応するマウスモデルで検証するリバーストランスレーション研究を推進します。また、データに基づく層別化や予測は、データの種類や量に依存する暫定的なものです。新たな治療法が開発されたり、地球環境が変化したりすることによって疾患の多様性そのものが変化することも考えられます。そのため本プロジェクトでは、ある時点で最良のアルゴリズムを作って使い続けることよりも、医療の発展に応じてデータを持続的に集積し、進化し続けるシステムを構築することを目指しています。
ACCESS &
CONTACTアクセス/連絡先
アクセス
- JR千葉駅から
- 東口・7番バス乗り場から、京成バス「千葉大学病院」または、「千葉大学病院経由南矢作」行きに乗車、「千葉大医学部・薬学部入口」で下車(約15分)。発車時間は約10分間隔です。
- JR蘇我駅から
- 東口・2番バス乗り場から、小湊バスまたは、千葉中央バス「大学病院」行きに乗車、「大学病院」で下車(約13分)。発車時間は約20分~30分間隔です。
連絡先
〒260-8670
千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1(千葉大学亥鼻キャンパス)
医薬系総合研究棟Ⅰ 7F(~2021年6月下旬)/医学系総合研究棟5F
人工知能(AI)医学 山本
E-mail: keiko-y@chiba-u.jp